一軒のお店がきっかけとなり街が変わっていった丹波の城下町柏原。成功の裏側には今のオルモを経営するシェフの成田さんとソムリエの矢野さんとの出会いがありました。
土田:今回、イタリア料理店『オルモ』のシェフを務める成田さん、スタッフの矢野さんにお話を伺います。本日は宜しくお願いします。
成田・矢野:宜しくお願いします。
土田:2000年に開業した『オルモ』ですが、当初2年は赤字状態。好転しない状況下において、シェフの交代など抜本的な対策を検討していました。そのなかで、成田さんと運命の出会いがあったんです。
成田:私は青森県出身なのですが、妻が丹波市の春日町の出身なんです。ちょうど妻の実家に帰省したとき、丹波にイタリア料理店ができたらしいと聞いて見に行きました。
土田:そのときに成田さんと知り合ったんですよね。大阪の有名なイタリアンレストランのシェフがお越しになると聞いて駆けつけました。
成田:オルモに立ち寄ったとき、素敵な空間だなぁと感動したのを今でも覚えていて。土田さんからシェフにならないかとお誘いをいただいたときは嬉しかったです。
土田:こちらこそです。一方で、矢野さんは、成田さんがオルモのシェフを始めてから2カ月後に来ていただいたんですよね。
矢野:そうですね。オルモの近くにある会社に従兄弟が勤めていまして、丹波のイタリア料理店でスタッフを募集していることを聞いたんです。
土田:もともと服飾のお仕事をされていたとか。
矢野:はい。もともと服飾系の会社に勤めていたのですが、途中で飲食の仕事に興味を持ちまして。ホテルのキッチンを転々としていました。同時にワインにも夢中になったんです。イタリアの農園を訪ねたり、ワインを毎日のように飲んだり。個人的に勉強もしてソムリエの資格を取得しました。
成田:僕もワインが大好きだから話が合うんですよ。
矢野:ありがたいです(笑)興味や関心が近いですし、同じ目線に立って料理と向き合えるので、良い関係性のなかでお仕事をさせてもらっています。
土田:成田さんと矢野さんの仲のよさが、オルモの心地よい雰囲気をつくっているんだなと納得しました。続いて聞いてみたいのが丹波の魅力について。お二人はどのようなところに感じていますか。
成田:歴史的な魅力はもちろんですが、地元の方々の人に対する優しさを感じています。例えば、工事をしている方に「ご苦労さまです」と声をかけている方がいて。小さいことかもしれませんが、人と人のつながりから生まれる豊かさを感じています。
矢野:他府県から移住されてきた方が多いですよね。新しく暮らし始めた人を受け入れる懐の広さがあるというか。地元の方々にはいつも支えてもらっています。
土田:お二人にそう感じていただけて、地元出身として誇りに思います。食材についてはいかがでしょうか。
成田:地元で採れる野菜や果物の種類が豊富ですね。トマトや玉ねぎ、ブルーベリーなど、丹波で採れた旬の野菜や果物をメニューに活かしています。
矢野:丹波は土壌が豊かですよね。それに、お客様に食材を説明するとき、農家さんも一緒に紹介するんです。地元の方々とのつながりを感じられるのも魅力のひとつだなと思います。
成田:地元の食材を使って料理をしたい人にとってはぴったりの環境ですよ。そんな志のある方にオルモのシェフとして来てほしいですし、丹波に増えてほしいですね。
土田:その通りですね。例えば、自然の豊かな場所で子育てがしたい、都会の環境に物足りなさを感じている、そんな料理人や飲食店の経験がある人に丹波の魅力を伝えていきたいと思います。成田さん、矢野さん、本日はお時間をいただきありがとうございました。今後とも宜しくお願いいたします。
成田・矢野:有難うございました。